不特定多数の人々がウィルスに感染してしまうのは、どうしてなのでしょうか?
実は、私たちが何気なく生活している中にも、さまざまなウィルスが存在しており、人だけでなく動物や植物などに日々感染し続けているのです。目に見えないものだからこそ過剰に怖がってしまいがちですが、正しく知り、正しく予防することが大切です。
どうやってウィルスが人に感染するのかについて紹介していきます。

ウィルスとは

まずはそもそもウィルスというものについて、少し深く学んでみましょう。
多くの人々を苦しませるウィルスは、悪役のような先入観がありますが、実際には、私たち人間と違ってウィルス自身の意思で増える活動をしているのではありません。
なぜなら彼らはそもそも活動するための身体”細胞”を持たない微生物だからです。
つまり自身の遺伝子が他の細胞に侵入することでしか活動することができないのです。設計図のみを持っている空っぽの魂みたいなものです。そのため、設計図“遺伝子”を組み立ててくれる身体”細胞”に入ると、設計図を製造する環境が整ってしまい”感染”、別の製造を続ける身体の機能をストップさせ、自身の工場のように解体してしまいます。人間の細胞で言い変えれば、ウィルスが細胞を支配下に置き、正常な細胞分裂をストップさせ、増殖を続けるうち、風邪の症状が出てきたり、あるいはガン細胞化させたりするのです。

人への感染経路

このように感染することで始めて力を発揮するウィルスですが、キーポイントとなる感染経路について追ってみましょう。
私たち人間の身体の中に侵入する経路は大きく分けて垂直感染と水平感染の2つがあります。
避けられないのは垂直感染で、妊娠中もしくは出産の際に感染する、母子感染と呼ばれるもので、B型肝炎や風疹などがありますが、周囲への感染拡大力はそれほどではありません。
人から人へより多く広がりやすい感染経路が水平感染で、これをさらに分けると、接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染の4つがあります。
接触感染は感染者と手をつないで目・口・鼻などの粘膜に触れること、飛沫感染は、咳やくしゃみで飛び散った細いしぶきを約1メートル以内で吸い込むこと、空気感染は飛沫核など空気中に漂う微細な粒子を吸い込むこと、媒介物感染は、汚染された水や食品、血液、昆虫などを介して感染することです。

感染経路から細胞が支配されるまで

そしてこれらの感染経路は、医療が発達した現代においても避けることは容易ではありません。
都市などでの人口密度の高さ・交通網の発達・同時刻のライフタイルによる接触の増加・不特定多数の人が触れる共有物の増加(座席やつり革・タッチパネルやパソコン)など、ウィルスにとって数え切れないほどのチャンスが転がっています。
手自体は皮膚の表面に角質という膜があり、ウィルスの侵入を防ぐ手立てがありますが、粘膜の表面には角質がなく壁がないため感染しやすくなります。万が一ウィルスが入ってしまった場合にも、強いウィルスだったとしても熱や咳、もしくは炎症や膿を出すなどして、体力があり健康であれば免疫反応が起こり対抗することができます。しかし、人間がそのように免疫を高め続けて今まで発展を遂げてきたことと同様にウィルスもまたさまざまな進化を続けていると言えるでしょう。

今後もウィルスはさまざまな物や人に感染し続け、増殖していくのならば、私たちもまた対抗し続けていく必要があります。
手洗い・うがい・マスクや健康的な食生活・運動はもちろん、定期的な除菌抗菌をして感染しにくい環境も整えていくことも私たちの使命なのです。